杉山洋子料理工房
 


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FOOD TALK

教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、 また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。



南半球の旅


2月17日から28日まで、NYからの娘とLAで待ち合わせ、オーストラリアはシドニーとカンガルーバレー、そしてニュージーランドはオークランド、 ワイヘキ島へ行ってきた。

シドニーは二度ほどいっているし、今回のお目当ては、やはり「TETSUYA」と「Bather’s Pavillion」。 でも一番の目的はカンガルーバレーに住む友人をたずね、ディナー・パーティーをし、 コミュニティーの人々のために茶の湯のデモンストレーションをするためだった。

かって、IACP からケータリングの会社として世界一の賞を受賞している友人は、パーキンソンス病におかされている。 にもかかわらず、150kmも離れたカンガルーバレーから空港に出迎えてくれた。ディナー・パーティーのため、シアトルからかなり様々な食材(ある物は、アイスパックにつめて)や漆の食器、調理用具も持ち込んでいて、空港の検疫で2つほど没収される。 検疫に時間がかかり、2日も費やして旅をしてきた身にはこたえる。まして慣れない夏の暑さである。カスタムを出るまで 随分待たせたと思うので友人が心配だ。病気は大丈夫だろうか。

やっと車に乗り込み、わざわざ市内観光までしてくれる。そして彼女おすすめのシドニーのホテルへ直行。 オペラハウスを対岸にみる絶景の場所だ。そこのカフェでお茶をする。もちろん私はお茶やコーヒーより、 この旅を祝ってシャンパンを注文する。私だけなので、もちろんグラス・シャンペーンだ。そしてうれしいことには、 ブーブクリコのフレッシュを開栓したて、しゃぱしゃぱと泡が勢いよく出ているのは、なんてさい先のよい!と、感激。 建築家の娘は、オペラハウスの真近へ行ってみたいというのを、またあとで行けるさといって(後日とても後悔するが)、 また車に乗り込んで、友人が一番大好きなレストランへ案内すると、PIERへとランチに直行。

海とヨットが大好きな私は、その湾上に浮かぶレストランに一歩踏み入れた時、いわれもない極上の瞬間にさあーと浸されていく思い。 ハウスボートの二階に案内されたような、そして、テーブルのデコも感激に身が震える。Summery、そして、すっきりシンプルで、エレガント。 窓から水が映える。

メニュ−をみる。お値段がめっちゃ高。オーストラリア・ドルは、今日日、ほぼアメリカドルに匹敵するほどなので、目玉がとびでるほど高いといったほうがいいだろうか。でも、そのメニュ−の楽しさは旅の格別。知らない魚の名前がいっぱい出てくる。娘は、オーストラリアならではの魚を是非食べてみたいと。各々が違うのを注文する。出て来た品々は、サラダにしろ盛りつけがすばらしく、写真におさめる。娘はNY在住で、 結構あちこちいいレストランにもいっているが、とても喜んでいる。友人は私の為にここのシェフのcook book「PIER」にサインまで頼んでいてくれた。旅のはじめから、感激の嵐。

TGIF は、どこの大都市も同じ(いつか、ミラノでの話を書いたとおもうが)、カンガルーバレーへの帰り道、 なかなか市内の渋滞から抜け出せない。普段、混まなければ2時間少々でつくというのが、結局3時間半ほどもかかってしまった。 帰り道、スーパーで、翌々日にするディナーパーティーのための食材を買いによる。

そして、この週末は村のフェスティバルなので、いったん、荷物をおろしてから、30分でもその雰囲気を味わいに会場にいってみた。 とても素朴なカウントリーフェア。バレーは緑でうるわしい。

友人宅は70エーカーのファームランド。バラ園あり、噴水あり、緑のメドーが波打っている。はるか周りをまるで、 京都のように山々に囲まれている。翌朝、朝日を浴びながら、バックヤードの庭で朝食。何て静か、そして贅沢。 昨日、何千マイルと旅してきたなんて思えないほど心がゆったり、時もゆったり。今頃、オフィスで仕事をしている我がご亭主様に申訳ないほど充実した人生至極の時。 娘とも久しぶりにゆっくり時を共有できている楽しみを感じる。

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Kangaroo valleyの友人宅

この旅に出る直前に、娘が一月末に取った最後のCA州の建築試験合格のニュースがはいり、とうとういくつもいくつもの試験をすべてパス、 大学院も終えて働きながら、猛勉強したのだがもうこれで、終わり。旅はルンルン気分ではじまっていたのだった。

昨日、あれだけ長時間をかけて運転し、友人はきっととても疲れていたのだと思うが、この日の為に、またシドニーに「TETSUYA」にランチに行く為に、自身はもう運転もできないし、ワインなども食事と楽しみたいからと、前々から車も運転手も雇ってくれていた。 町と田舎、これだけ距離が離れているのに、どのようにして出かけられるかと心配していたが、ショウファー付きのお出かけ! まるで、貴族になった気分を味あわせてくれる。そして、娘に食べさせたいと願っていた夢がひとつかなった。 あいにくシェフの和久田さんは、新しいレストランをシンガポールに開くため、しばらく不在ということでお目にかかれなかったが、ランチといっても、シェフのtreatを含めて14コース! 昨年もフランスでいろいろな素晴らしい食を堪能してきたが、このTETSUYAの洋と和は、 これほどまでに絶妙に解け合って、極上のシンフォニーを聴いているような食事は、他ではできない。世界中で、どこのレストランが一番好き? なんてきかれれば、京都の大好きな桜田同様、このTETSUYA!と即答できる。えもいわれぬ食事をした時、よく思うのだが 『もう明日死んでも悔いはなし!』 

夕方バレーに帰り、明日の朝予定されている茶の湯の集まりのための会場を見学に行く。バレーを見渡せる見晴らしのよい個人宅だが、 アメリカからワーキングホリデーできている夫婦が会場のセットアップをしていてくれる。 『茶の湯は、一に掃除、二に掃除、三に掃除、四も五も掃除といわれるように、お客様が到着される10時より30分前には玄関もきれいに掃いて、 水もうっててちょうだいね』と頼んで、水屋になるキッチンもテーブルも申し分ないことを確認して家に帰る。 お昼のコースのあとまだ余韻たっぷり。とうてい夕食はいらない。フルーツやクラッカーをいただいて十分。

翌朝、お客様は20名限定と言っておいたので、2席を1時間半で。略盆点前で3人のお客様を前にすわらせて干菓子(2種)と薄茶をさしあげ、あとは運び点前で、はじめの10人までに配る。2席めは皆の前で亭主を務めるボランティアを募る。 本日のバースデーガールが撰ばれる。いつも大勢の人達が見ているワークショップのこつは、必ず会場の人を参加させるということ。 いやがおうにも皆の注目が集められ、親近感が沸き、アテンションを引きつけられ成功するのだ。昨年、カリフォルニアで 100数十名へのすしデモンストレーションも同様で大成功だった。(主人もお客のひとりとして参加してたので、そのときの状況は聞いてください!)

シドニーを出発した後々、後日、友人にたくさん感謝のメールが送られて来たと聞きて、あー、ほんとうにいい事をしてきたと思った。 茶の湯が終わり、午後は家でディナーパーティーの準備。せっかくカンガルーバレーにきたからには、アウトドア・スポーツをやりたいという娘は、 カヤックに乗りにいった。

長野オリンピックの時にも、選手村でギリシャやスペイン等の皇室の方々へ食事をつくるといって言っていた友人は、 1カ月以上も滞在し、それも日本に5−6回は行っているから、日本の漆や器、ごはんのおひつから寿司桶まで なんだかんだと和のものを一杯もっている。私もシアトルから2種の漆、他、利休箸、箸置き、プレースマット等々を持ってきて、 メニュ−にめりはりをつけ、効果的なアレンジをした。食卓の花も庭のアマリリスに似た百合の花と大きな巾の葉を使って。 旅行中なので、あまり仕事的になるのはいやなので、この日のディナーは6人限定。友人、ワイナリーオーナー夫妻、 友人のバレーでの大の親友、レポーターと娘が席に着き、わたしはキッチンに徹して、作ってはサーブし、皆に食事を楽しんでもらう。 シアトルからペリッシャブルはすべて持ち込めないので、思ったような買い物ができないのが残念だが、ま、時間もなく、 その時まかせで、目をつぶらなきゃならない状況もありだが、真心は確実に伝わった。

そもそも、どうしてカンガルーバレーで食事の会をするのかというと、昨年夏、友人がノースウエストに来ていた。 電話のメッセージだけで、そのころ、LAで長年の友人の娘さんの結婚式にいっていて、会えなかったし、家にも招待できなかったから。 パーキンソンス病がどの位進行しているのかも知りたかったし、とても気がかりで、心残りだった。 昨年の夏、NYはブルックリン、アトランティクヤードのアリーナの設計で大忙しの娘は、プライマリーデザイナーとして夏休みを1日もとれなかったので、 また長年貯めたアラスカン航空のマイレージも十分なので、(私は主人のをちゃっかり貰って)、アワードで予約をとった。 シドニーとオークランド。と、いうことで、適当な日にちをとり、切符をとってから、友人達に打診した。

カンガルーバレーに3泊してシドニーに向かう。今日はもう一カ所、ぜひ娘を連れて行きたい場所があって、前々から期待していた。 16年前、はじめて来たときから、世界中の中ですきなスポット(場所)は?と聞かれると、確実に一つはここをあげるに違いないと確信したところだ。 Barmoral beach とBather's Pavillion。前回行ったらレストランはリモデルされていて、昔のrustic な感じがなくなって、 少しは落胆したものの、海辺に建つここの場所は、なぜか昔、神戸は舞子にあった洋館のイメージと重なる。その洋館には友人が住んでいたり、 知り合いの建築家が建築設計事務所として借りていたりしたので、よく、パーティーに使ったり海辺でのんびりしたりと、私がこよなく愛した場所だった。 またBondai beach(実は、一度もでかけたことがないが)のような大きなビーチではなく、なぜか涙うるうるの地球の一カ所。

前に二度ここに来たときは、北半球の秋だから春、初夏ということになる。真夏なので、どんなにか混雑しているのだろうかと少々不安だったが、 月曜日だったのでそうでもなく、また、海の色がすばらしい。なぜか、ここは海の色がそう、水色にみえる。念願かなって泳いでみる。 もちろん水泳してても暖かくて、でもうれしいのはハワイや、子供の頃から泳いでいる須磨の海だが、今、シアトルが冬の終わりの頃、 こうして、南半球で泳いでいられるなんて。

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BARMORAL BEACH & BATHER'S PAVILLION

夕方、シドニー在住の小学校時代からの友人が迎えにきてくれる。その前に、前回シドニーからLAまでの飛行機に隣り合わせて、 それ以来毎年欠かさずクリスマスカードを送ってくれる新しい友人が会いに来てくれる。 彼女も10年ほど前にシドニーから車で1時間45分ほどのところに農地100エーカーを買って母屋を建て、ゲストハウスを建てた。 シドニーはタウンハウスに縮小したといって、このライフスタイルがおきに入りと。

翌日、ニュージーランドに飛び、まずは、オークランドのホテルにチェックイン。アメリカスカップビレッジのハーバーを見下ろすスイート。 チェックインタイムが遅く、アップグレードしてくれた模様。チェックインするなり、オークランドの友人からのメッセージ。すぐ下、ロビーをでて、 右のSoulというレストランで待っていると。娘と大急ぎで、シャワーを浴びて出かける。マリーナをのぞむライブリーなビストロで、真夏の夜の夢のような、外のテラスでの食事。 彼女は、以前IACPのプレジデントを努めたのだが、それ以前に日本へ10日間ほど、旅行に連れていったことがあって、寝食を共にした仲。 気心がしれていて、まさに食に興味を共にする。彼女のご主人もやおら到着。オーストラリアでおいしいものを一杯いただきすぎて、 なにかコンフォートフードがほしい。メニュ−をみると、なかなかすてきだ。お値段もほっとする値段、ごちそうになっても気がとがめない。 サラダとマカロニグラタンをたのむ。そうこうするうち、on the houseで、マロー二というクレイフィッシュの前菜がすてきなスープ仕立てででてくる。 土地の有名人と食事するとこういう特典がある。お味も絶品。思いがけなく気持が満たされる。 わたしの注文したマカロニグラタンは、涙がでるほどやさしい味であつあつ。皆がうらやましそうに視線をおくる。 ちなみにこのレストラン、オークランドで一番成功しているレストランだそうな。エスプリが効いていて、満点。

翌日は、ホテルから歩いて5分ほどの船着き場からWaheke Island へ、フェリーで45分ほど。 昔、オークランドの大きな大きなマリーナから、ハーバークルーズに連れていってもらったことがあったが、 この町も水の都、あちこちにマリーナがあるので、どこのマリーナなのかわからない。

島の港について、すぐロッジからの迎えが。はじめてのところは、最初からレンタカーなど借りずにゆったりと構えて、 新しい場所を車窓から珍しげに眺めるのが好き。友人の友達がやっているというこのおすすめのロッジは、思ったとおりニュージーランド風、 シンプルで、垢抜けた建物。部屋もすぐおきに入り。すぐ下は港のある入り江がみえ、またオークランドまではるか火山まで見渡せる絶景の場所、テラスからの風も心地よい。 遅いお昼を食べに、その先の岬の突端のようなところに建つワイナリーとカフェ、といってもきっちり常駐のシェフがいる本格的レストラン。 光と風が交差するカフェで眺めは、最高、メニュ−もごきげん。あー、こんなに素敵な素敵なところもあるんだ。遥かかなたから来て、 こんな思いができるなんて!

3時をまわっていたが、ゆっくりロッジまで歩いて帰る。途中、景色のいいところで、お昼ねのような休憩。原っぱによこたわる。 シドニーに着いてから頑張りすぎたのか、たったの4日間でしたいことをみっちりしてしまった、食べてしまったので、体も胃も疲れきっていたのか、 ディナーの予約もキャンセルしてもらい、(この島にはあちこちワイナリーとワイナリー所有のレストランがある)、 その日は夕方から12時間以上も寝てしまった。娘は夕方、ロッジ特製のアペタイツワーアワーに行き、3種をドリンクとともにいただき、 あとはシアトルから持参したカレントいりのクラッカーをほとんど一袋食べてしまったよう。若い人はさすが違う。

翌朝は、ロッジのシグネチャー朝食。優雅にダイニングテーブルにつく。私も気を入れた朝食が大好きで、 お宿に泊まった人々(一日4組のみ)とともに、いただく。光があふれているこのスペーシャスな感じがうれしい。 ここでも、ゆったりと時がかんじられる。そう、NZに来てからは、まさに休日。食後、迎えの人の車にのって、ハーバー近くのレンタカーを借りに行く。 一日だけ、借りる事にした。国際免許証をもってきたのだが、オークランドのホテルに預けた荷物のなかに忘れてきてしまったよう。 でも、娘がアメリカの免許証をみせると、まったく問題なし。この島も小さいからいいんだろう。私達が地所をもっているシアトル近郊のハットアイランドでは、 島自体が自分の所有地という意味で、その島で使う車は、ワシントン州のライセンスなど不必要なのだから。 ランチを島一番大きいというビーチのそばでし、午後はワイナリー巡り。唯一のおみやげは、ワイナリーでもとめた一本。 最後にハーバー近くの小さなビーチで泳いで夕方まで過ごした。

今夜は、ロッジのご主人が腕をふるうご馳走(3コースミール)が楽しみ。どうやら、一日で、わたしの胃袋も休養ができたようだ。 夕方の涼しい風にあたりながら、ロッジのテラスで、この日も三種のアペタイツァーが供される。グジェール、何かと、もう一品は、 ムール貝をつかった小さなパンケーキのような、お好み焼きのミニチュアといおうか、韓国のチヂミのような。 おいしくて3回いただく。シアトルに帰ってきて、お宿にレセピーを頼むと、快く送っていただいた。今度、是非つくってみたい。 ディナーテーブルに着席し、ファミリーミールスタイルでいただく。いいなあ。

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TE WHAU LODGEにて

翌朝は、ここでも、せっかくお茶の道具をもってきているからと、少人数に抹茶とお干菓子をふるまう。 たまたま、新婚夫婦がいたので、彼らの門出を祝ってと題して。旅の道連れ、世はなさけ、袖ふれあうも楽しからずや。

午後1時の船でまたオークランドへ。今日は、友人の息子さんの結婚式に招待されているのだ。 このごろは、一年に1―2度必ずと言っていいほうど、よく結婚式に出席する機会が多い。NZでの結婚式はいかに?とわくわく気分で教会、そしてレセプションへ。友人の家族、親戚、友達、次々紹介され、エレガントで、楽しいすてきな結婚式を娘共々、いいときをすごしてきた。 食のプロの撰ぶシャンパンも料理もよく、圧巻は長―い長―いテーブルを生の花のガーランド、香しい花の香りとともにレセプションを楽しんで、 食後はダンスパーティー。ロンドンで弁護士として活躍している若くてハムサムな友人の息子さんは、ロンドンで、 オークランド生まれのすてきな彼女を見つけたのだった。若い人達を心から祝福できてよかった。

オークランド最後の日は、母娘別々の行動をすることに。私は、眼下のマリーナに舫っているアメリカス・カップの(観光客向けだけど) マッチレースに参加することにきめる。娘はもっとネイチャーハイクに、一日バスで遠出し、森やビーチをみたいと。私はごきげん。 まさか、ニュージーランドで夢のような本物のアメリカス・カップのヨットに乗れるとは。 86フィートもあるが、ひとたび海にでると、なんとその波さばきというか滑走するような快感。船に乗ったときのバランスが抜群。 自艇のDOLLYも23フィートながら、船のバランスは抜群だが、このどっしり、 すっきりした大きなクジラのようなフレンチチャレンジの航行にはまいった、まいった。そして、スキッパーもクルーも手慣れたもの。 総勢5人で、23人のツアー客をのせて、きっちりスピネカーもあげたり、おろしたり。相手方のNippon Challengeのほうが、 上手をいっていてレースの途中で、我が艇のスキッパーは、勝ち目がないとわかると、クルーにラットも渡してしまって、降参。

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甲板上で、あのコフィーグラインダーに挑戦。二人づつ組になって、必死でまわす。アルミ製で案外かるいし、華奢なのに、驚く。 後で、操縦させてもらったラットもこんなに大きなサイズの船にしては、華奢で、さすが!1gでも軽く作られている。 アメリカス・カップのものならではと納得。せいぜい3時間ほどで終わり、滑るようにマリーナに帰ってくる。 午後は、マリタイムミュージアムで、アメリカス・カップの歴史や、いろいろな展示をみてまわる。ディンギーのいろいろの展示も面白い。 昔、大学を卒業した年に、かの安藤忠雄も寄付をしてくれた最新のM5を進水させ、レースに出ては優勝したり、 何度も地元の神戸新聞に載ったり、舵誌に原稿を掲載頼まれたりもしたねっからのディンギーレーサーだったので、 興味深く懐かしくひとつひとつを丹念に見て回った。

オークランド最後の夜は、友人宅でのディナー。能登のさかもとで知り合いになったオークランド在住のBillとNoriyoのふたりも来るとか。 すてきなお家。また、キッチンに入るやいなや、ああ素敵、ダイニングテーブルも、すばらしいセッティングがされて、私達の到着を待っていた。 昨年の夏、プロバンスでとっても気に入ったテーブルクロスを見つけて買い忘れたので、友人に買い物にいって、おくってもらったのがあるが、 あれ以来、なんだかドキドキするような位、すてきなテーブルクロスとナプキンの組み合わせ。誰がつくったのだろう。案の定、友人の友達のアーティスト。

シアトルからもってきたそばの残りもあるので、最初の口取りに作ってだす。シアトルのGerald & Moniqueのスモークサーモンのアペタイツアーも、 そして大阪からのBill & Noriyo達の友人のシェフがその日釣り立ての魚で、生寿司2種類をつくってくれたのも、とてもひときわ豪華で、贅沢! 数々のクックブックを著作している友人と彼女のご主人がグリルしてくれたこの日のディナー、ラムのフレンチカットのグリル、付け合わせのレモンポテト、いんげんやトマト、レタスのサラダ、申し分なし。食後は季節のピーチ、そして、娘がNYからお土産に持参した、その日、バターからフレッシュにつくるという、 ブルックリンのアパート近くのクッキー、シアトルはFran'sのチョコレート、それに満愛貴さんが2月初めにお持ちくださった、 名古屋は両口屋の羊羹。抹茶か玉露でいただく。はるばる遠い旅行先にでも、ちょっとおいしいものをお届け気分でもっていったのが、とても喜ばれる。

食後、友人のご主人マリのピアノ演奏が始まる。ジャズも軽やかでいいが、ヴェートーベンのMoon light Sonataを楽譜見ながら弾いてくれる。あらら、私もこの曲が大好きで、マリ独特の味のある演奏に酔いしれる。帰ったら、私もブラッシュアップして、人に聴かせるぐらいになりたい。

旅は、誰も知らない所にいって、新鮮気分を味わうのもいいが、行く先々に友人が待ち受けてくれているのも、また、その紹介でお宿に泊まるのも格別にいい。今回、一番行きたかった、NZの友人がCuisineの雑誌でも紹介したという、数年前に建てたビーチハウスに泊まるのが目的だったのが、息子さんの結婚式の忙しいまっただ中に旅程を作ってしまったので、それが果たせなかった。また、娘は建築家なのに、シドニーでも顕著なオペラハウスを最後まで間近でみたり、写真を撮ったりもできなかった。ヨーロッパへいくより、うんと遠くてめったに行けないが、旅でし残したことは、『ま、次回できるわさ』といつも思う。主人を連れていくことも残しているし。帰り際、友人が最近の著書にサインをしてお土産にくれる。帰りの飛行機で読むのが楽しみと、旅の最後まで彼女の気配りに感謝。

旅の余韻にひたっているうちに3月も終わりに近づいて、昨日行ったヨットクラブのメンバー宅のディナーパーティーでは、5年前、シアトルを出航して、メキシコ、ハワイ、タヒチと寄ってオークランドまで、時々、シアトルに仕事に帰りながらセイリングしていった人達のウェルカムバックを記念してだったが、夢のような航海ねと、そう、Dolly でもいけそう、と。

夢をもち、今、Celestial Navigationのコースを取り出した。チンプンカンプンの暗号や、計算を25工程すると、26工程めに、やっと答えのLatitudeが出る。セクスタントもいいのは千ドルもするし、ドイツから取り寄せないといけない。私の練習用はプラスティックの$20。これも使えるようになっていたら、たとえば何もかも嵐で失って、救命用のボートに積んでおくと役にたつという。今日日、GPSがあるが、時としては使えないときがある。そんなとき天文航法を知っていたら、おおいに助かる。自信をもっておく(それにしてもこのクラス、最初の日は女性3人、男性1人、たまたま、男性1人は風邪で欠席だったらしいが、アメリカの女達はすごーい!結構年配の方もいる。わたしもそのうちか!)。

南半球の夜空にくっきりまたたく南十字星。また、見に行きたい。船で。

2010年3月




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