教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、
また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。

今年はどんなお客さまを呼び、どんなお料理をこしらえて、どんなパーティーにしようかと悩むのは楽しい。ただ、パーティーの日にホストが働きすぎて、お客さまが到着しかけた時には、ばててグロッキーなんていうのは最低。私の料理教室でも、つねづね、生徒さんに前もって作れるものはどんどん前日にこしらえて、パーティーの日は自分もエンジョ−イしなくっちゃ、と口をすっぱくして言っている。
いつぞや、バンクーバーにも家を持ってらしている作家の桐島洋子さんがパーティーをするというので、主人共ども呼ばれたところ、あいにく主人は出張で、私ひとりしかおじゃまできないと言うと、ここぞとばかり渡りに船という感じで、「それじゃ、パーティーの準備を手伝っていただけないか」とのこと。「もちろん、喜んで」とその申し出を受けたのだが、彼女の相棒から送られてきたメニューを見た時には、驚愕のいたりだった。十数種類の料理を半日で用意するという。もちろん、グランビル・アイランドへの買い出しは朝。パーティーのセッティングは午後。前日から泊まり掛けだ。

メニューをざっと見て、シアトルから用意できるものはと思い、バジルソースなどをフレッシュから作る。むこうでポテトニョキを作ってソースであえるのだ。それにしてもあの数々のハイカラなお料理は、いったい3〜4時間で作れるのだろうか? 私は料理を教えている都合上、すべてをスクラッチから作るものと思い込んでいたのだけれど、テキはフレッシュパスタやニョキ、ソースは専問店からのできあいのもので、まさか私がじゃがいもを焼いて、粉をこねて……、なんてことから作るとは思っていない。トマトソースも以前に作っていたのを冷凍してある。なんだかチチンプイプイって感じで、つぎつぎとできあがってしまう。まさに、聡明な女は料理がうまいを地でいっている。なるほど、バンクーバーの総領事ご夫妻をはじめ、いろいろなキャラクターの人々を30数名、いとも簡単に呼べるわけだ。ただその日のお料理で、みなさんが本当においしかったといったのは、やはりしっかり手作りしたものだったけれど……。
それにしても、若い時ならいざ知らず、全てをその日一日で用意するのはきつい。お客さまがいらした時、もちろん服も着替えて、リフレッシュするのだけれど、体がかなりよれよれで、料理も口に入らないぐらい自分自身が疲れている。やはり前日に作っておけるものは先に用意したほうが、味もこなれて、より一層おいしくなるものもある。
前置きが長くなったが、今年のクリスマスは2〜3年前に生徒さんに教えたスタッフィングが五層のビーフウエリントン。1週間前に作って冷凍しておける上に、その日はもう一度エッグウオッシュを塗って焼くだけ。これがボリュームたっぷりのメイン・ディッシュ。あとはクリスマスらしいサラダを用意し(レタス類は洗って水きりをし、冷蔵庫に。ドレッシングも朝のうちに作っておける)、デザートはあつあつのライス・プディングを食後、みんなとプレゼント交換している間に焼けてしまう。そして、パーティーのインビテーションを送ると必ず「何か持っていくものは?」と聞かれるので、そうだ!自分ひとりで全て作るより、なにかオードブル(軽いもので)一品作って来てもらえると楽しい。もちろん、アペタイツアーを考えるのも、作るのも大好きだから、2〜3品その日に作る楽しみがある。お客さまのほうも、パーティーに参加する意義が出てくるし、中には張り切って、スゴーイのを作ってくれる人もいる。
シャンパンを開け、数々のアペタイツアーを楽しみ、焼きあがりの時間を考えてオーブンでメインを焼きはじめる。サラダをお出しし、メインディッシュを賛嘆の声を聞きながら楽しんでもらって、食後に「ホワイト・エレファント・イクスチェンジ」のプレゼント交換だ。これがお金がかからず、ワーワー、キャーキャーといって、時にはおなかがよじれそうだったり、おかしくて涙が出るぐらい笑っちゃう。暖炉の前での幸せなひとときだ。そして、オーブンから出したてのあついライスプディング。お客さまにも、十分楽しんでいただけたと思う。
とにかく、メインを当日作らなくていいほど楽なことはない。ゆったりとした気分でパーティーを楽しめるのだ。是非、おすすめ。

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