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教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、 また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。
17日間の姉との旅行は、普段あまり一緒に物事をしたことがないので、かなり心配だったが(それはむこうも同様だったようだ)、 2―3年前に風邪の菌が脳に入って1カ月意識不明に落ち入り、半年入院生活をして、奇跡的に回復し、 またこうして、姉妹でフランス旅行ができるなんて、還暦をまわった彼女に言わすと『冥途のみやげ』になるそうな。ハハハ。 長年、会社を経営してきて、この春、4階建てのビルのモーゲッジの支払いも済ませ、それを彼女自身の会社の人達のために会社に売って、 この経済が逼塞している今のご時世に、六甲山頂に2500坪の土地付き別荘を買い、今後は趣味の絵を楽しんでいこうという、人生の一息地点に立った彼女。 その彼女のために、もうかれこれヨーロッパは14−5回は行っている私が、旅の計画を練って案内するのだ。 まず、まだまっすぐに長い距離を歩けない、重い荷物も持てない彼女のエスコートは、かなりの重労働を伴った。 最初のNYでのステイは、3階建て、エレベーターなしの娘のアパート。 着いた翌日、友達の結婚式に出席するためにメキシコへ旅発ってしまった娘のヘルプなしに、 フランスへ出発する当日、重いスーツケーツ二人分を運ぶのは、もう、泣きそう。 汗びっしょりで、表のドアまで運んで、タクシーの運転手さんにバトンタッチするまでは、大仕事だった。
パリの5泊の宿泊のうち最初の2日はモンマルトルにした。サクレクール寺院のすぐ下、パリの町が部屋の窓から一望できる。 二つ星だが部屋のデコもベットもすてきで、まして界隈はカフェのオンパレードだし、メトロの駅がホテルの真ん前。ごきげんなローケーションといえよう。
まさしく、ジェニファーことJennifer McLagen好みのレストラン。彼女が最近出版した本『FAT』は、この春、IACPの「Best Single Subject Cookbook」部門で賞を受賞した。カナダでも有数のフード・スタイリストが選んだだけある、さすが。
近くのカフェの並びに、町の人達が行く感じのいいワインバーもあり、お風呂でさっぱり汗をながしたあと、大好きなバブルを一杯、もなかなかいい。 2日めは、フランス全土が音楽の日で、まわりもストリート・ミュージック・フェアーという躰だ。あちこち、即席のB.B.Q.屋台がたくさん出ている。 歩いていけるので、夜は、ムーランルージュのカンカンを観せにいった。 3日めに、マドレーヌとオペラの間の4つ星ホテルに移る。買い物も便利だし、一年に1回ぐらいしか、フランス料理は食べないという姉に、 歩いてお寿司やてんぷら、うどんと和食のレストランに連れて行ける。また、FAUCHONやHEDIAREもすぐ2ブロックほどでいい。 なにしろユーロ高だから、あまり買い物をしないようにと思いながら、アメリカにないものはついつい手が出てしまう。 もっぱら私の場合は、食品や、食にまつわるものだが。 ルーブルに歩いて連れて行ったら,あまりの人に酔って、地下のカフェで休みもしたが、姉は降参といった感じで、 あの世界一ともいえる美術館をひとつもまわりもしないで、外に出る。サントノーレの簡単な中華の焼きそばなどを食べて、ホテルに帰る。 午後、長旅で疲れてホテルで休んでいるという姉を残して、レフトバンクスへ、タクシーを飛ばす。私の用事で3−4軒まわらなくっちゃ。 この5月、カリフォルニアにゲストシェフとして招かれた時に使いたくて、わざわざ築地から取り寄せた「海苔」。 お茶のクラスの方がメッセンジャーで運んでくれたのだが、その海苔の包装のなかに入っていたパンフレットに、 お茶も取り扱っているこの店がパリに「寿月堂」というお茶の店を出したというので、是非いってみようと思っていたのだ。 サンジェルマン界隈を探し探し、やっと見つけたと思ったら、中にいるお店の人が、『本日は休みでございます』という。 『1時間も探しまわって、やっとお店を見つけたのです』というと、快く店内に招きいれてくれた。 話しているうちに、なんと丸山海苔の娘さんだった。東京からきたお母様もいらした。 地下に、隈研吾の設計の茶室があるというので、みせてもらう。なにか、ワインセラーのようなかんじの竹をうまくあしらって、 立礼ができるちょっと前衛的な空間がつくってあった。 私の風炉のなかに仕込めるキャンドルスタンドもパリだからといって鋳もとが特別につくったというのを買わせてもらったら、 海苔屋さんの煎茶、ほうじ茶、そして、青のりを是非賞味してほしいといただいた。お買い物分ぐらいのいただきもの!ですよ。 ありがたい、うれしい限り。
トウールジャルダンでいつものように、我が家のキッチンで欠かせないふきんを買いにいったのだが、店がおやすみ、 明後日には、もう一度こなくっちゃ。デューマルゴーで、ちょっと休憩してから、地下鉄を乗り継いでホテルに帰る。 その夜は、オペラの近くの眉山で高級な和食、ちょっとした懐石におすしとそれにしても、姉は、和のところにくると、アットホームになって、元気が出る。 翌日は、モネの絵の大好きな姉をジベル二―まで連れて行く。
帰るバスの中、姉は『今晩は、何を食べるの?』と聞くので、『天ぷらざるうどん』と即座に答える。国虎のうどんとおでんは大好き。 味も同じ和食なのに、ここのような味には、アメリカでは、お目にかかれない。 前回は、フランス在住の友人夫妻を案内した時は、ゆうに30分は待たされたのだけれど。 ついこの間、7月はじめに帰ってきたばかり、昨日までプロバンスにいたと思う間もなく、すでに1カ月が経っている。 パリで何をしたんだろうと考えると、そうそう、最後の日は美術館めぐりをさせようと、睡蓮の絵の大きなのをみせるために、 ミュゼオランジュリーに行ったんだっけ。外観はそんなに変わらないのに、リモデルしてあって、以前よりずーとモダンですてきになっている。 それにしても、フランスにモネのいい作品は、残っていない。すばらしい睡蓮の絵があるのは、NYやサンフランシスコだ。
オルセーも行きたいというので、行ったのだが、なにか心に響くようなものには出くわさない。『ランチをすてきなところでしようよ』と、 また、私の大好きなミュゼケブランリーにいく。このセーヌ河畔のミュージアムは、建物の壁面一杯垂直のガーデンがある。 これを見るのが大好きで、オープンしてまだ新しいが、もう、3回は見に来たかなあ。ターザン展をやっていたのだが、 エッフェル塔をまじかに真っ正面にみながら、庭を楽しみながら、ターザンのサラダを頼む。フフッ!どんなアレンジがしてあるのだろう、と、興味しんしん。 ここの庭は、初秋には、すすきの波、しゅうめい菊がまことにすばらしい、以前にも書いたと思うが。 明日は、TGVでアビニョンまで。友人が迎えに来てくれる(つづく……)。 2009年7月
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