教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、
また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。
おいしい料理をつくる上で一番大事なのは、いわれなくてもよい食材探しだ。新鮮なもの、
旬のもの、よいだしをつくるもと、調味料。これらがそろっていれば大概のものは、まずかろう
はずはない。ただ、きちっとそれらに対応した調理方法を駆使すればのことだが。
サンフランシスコやシアトルに住んで、海のすぐそばだからシーフードがおいしいでしょうと、
よくいわれる。でも魚屋さんへ行って、活きのいい眼の黒々している魚にお目にかかったことがあるだろうか?
茶懐石のクラスをする場合、ことに向付には、活きのよい刺身を使いたい。茅ヶ崎に住んでいる、
懐石料理の先生を40年近くもしてきた友人の叔母君に『ここは、夢のよう』と洩らしたことがあった。
1週間に二度も魚屋さんの御用聞きが朝やってきて、これこれしかじかの魚が今日はいいです、と教え
てくれる。そして夕方には、それぞれを切り身におろして届けてくれるのだもの。おもわず、うらや
ましーい!と声をもらしてしまう。
西洋料理のクラスでも魚介類を使う日は、ことに気をつかう。もちろん肉類でもそうだが。
25年程前、サンフランシスコは、オーシャンに3ブロックとゴールデンゲート・パークに1/2ブロック
のフラットに住んでいたとき、下の住人のおじいさんが天候さえよければ60マイル先のファーロン島まで、
毎日でも魚を釣りにいっていた。帰ってくれば、たいがいの魚を1ポンド1ドルで友人、知人にわけてくれ
ていた。ときには、すずきとか、かつお、タコなど、めずらしいものは少々高かったけれども、活きのい
い魚を楽しんでいたものだった。いちばんポピュラーなリンコッドでも、たらちりなどにして主人のお客
様にお出しすると、とびあがるほど喜ばれたものだった。
今、私が恩恵に浴しているのは、ノ−スウエストでも有名なシェルフィッシュのスぺシャリストの友
人が、パーティーをするというとテーラーファームのオイスターベッドからとれとれのクマモトや、グイ
ダック(みる貝)だったり、マニラクラム、マッスル(ムール貝)などを持ってきてくれること。オリン
ピアなどもこんなに新鮮なもの食べたことがない!と絶句しそう。パーティーに欠かせない人である。も
ちろん前もって注文すると、オーバーナイトで届けてくれる心強い味方だ。
肉類は、木曜日にクイーンアンのブッチャーまででかける。
その近くに、以前は結構二流の名前がついていておもしろくなかったけれど、今は「コスモポリタン」と
いう名前にかわったス―パーがあり、オーガニックの野菜も豊富で、サーモンなどもワイルドソックアイ
などがあり、家に帰ってきて、シーソルトの荒塩をぱらぱらとふりかけて2〜3日おくと、まことにおい
しい甘塩の塩しゃけができる。少々値段が高くつくが、インターネットでNimanRanchの肉類も注文は簡単。
オーガニックの肉類は安心だ。
ちょっと車を走らせば、PCCやWHOLE FOODでも買い物ができる。
夏のPIKE PLACE MARKETで、オーガニック野菜のスタンドはうれしい。
自家栽培のトマトやハーブ類もきらさないようにしている。家の庭にはありとあらゆるフルーツや、
食に関係のある草木や茶花を植えているのだけれど、これらももう少し種類を増やしていこう。世界の
クッキングスクールの中でも、ハーブ類、野菜類をよく育てている知り合いが何人かいる。その筆頭は
アイルランドのBALLYMALOE。なにしろ敷地が3,000エーカーもあるので、ホテルに燐接するハーブガーデン
はすばらしいの一言に尽きる。隣のクッキングスクールまで歩いたら45分もかかる。
フランスのLA VARRENEのハーブガーデンと野菜畑はいうもがな。バーガンディーのお城にあるクッキングスクールだ。
プロバンスの友人のクッキングスクールも、規模は小さくても何年もかけて、素敵なハーブガーデン、
フルーツと野菜の畑を作っている。食卓にのせる一皿にも労をおしまず、よい食材を探したり、作った
りすることが、なによりも肝心といいたい。
次は、日本からの食材。
和食をつくろうとすると、やはり昆布、かつお節、酢、その他もろもろのよい材料がほしいものだ。
その為、年に2度は、築地や錦に通うはめになる。器もいろいろ物色したくなる。また、
お茶をしているので道具類など、つぎつぎと巾をひろげたくなる。それらが次、日本へ行くときの楽しみになるのだが、
日常ほしい食材をいちいち買いにいかなくても、注文しだいで手に入る、そんな機構がほしいものだ。
今年はそういうことも、オーガナイズできたらいいな、と。これが新年の抱負です。
2005年1月2日

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