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教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、 また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。
![]() 春のはじめ、お茶のクラスメートから、サンフランシスコのマリンカウンティーにある「グリーンガルチ」で8月の禅と茶のセミナー合宿の申し込みを勧められた。 この催しはとてもポピュラーで、毎年ウェイティングリストがあるそうな。 合宿の内容も願ったりかなったりで、ためらわず申し込むことにした。 長年サンフランシスコに住んでいたので、スティンソン・ビーチに行く途中のミュア・ビーチ近くのヴァレーを行き来するたびに、 すてきな場所に禅センターとファームがあるのを知っていたが、この夏、はじめて行くことになった。フォ−トメイソンにあるベジタリアンで 有名なレストラン「GREENS」でもこのファームのオーガニック野菜を使っているのは先刻承知だ。 早朝シアトルを出発して、シスコで一日用事や買い物をすませ、夕方、友人でレイディ・ロイヤーのジュリーにユニオン・スクエアでピックアップしてもらう。 早めの夕食を、彼女も私も大のお気に入りのレストラン「BOULVARD」でした後、グリーンガルチまで送ってもらう。ゴールデンゲートブリッジを越え、 マリンカウンティーのくねくね道になると、霧がせまってくる。思ったより早く着き、禅センター主事のメイヤーさんに迎えられ、ゲストハウスに入る。 シアトルからのお茶のクラスメートはすでに着いている。物音ひとつしない田舎のような感じ、ゲストハウスのリビングでは、なじみの顔もみえる。 翌日からは、サンディエゴからくる方とルームをシェアすることになる。お茶などをいれることのできるキッチンというか、ギャレーは一階。シャワー室は二階。 また二つの部屋にひとつづつバスルームがついている。なかなか快適な住空間、ことに昼間はスカイライトがあるので自然光がさんさんとふりそそぐ。 翌朝は5時から一回目の座禅がはじまる。出発前、前日まで、茶懐石のクラスをしたりしていて寝不足気味だったので、座禅はパスしてゆっくり休むことにした。 朝の茶室の掃除から手伝う事にして、すぐその後朝食がはじまる。ここでのルールは食事についてから、はじめの10分間は無言ということ。すばらしいことだ。 だまって食べ物に感謝し、向き合えるのだ。 我が亭主は、すばらしいレストランに行ってわくわくするお皿が運ばれてきても、家で会心の料理をこしらえて出しても、 いざ皿にむかってアタックとまではいかなくても、その料理に向き合いたいとき(或は、向き合ってほしい時)にかぎって、食と関係のないいろいろな話をしだすので、 『なんでーこんな時?』とおもうことが多々ある。そのため「10分無言ルール」はいい!と思ってしまった。 我が家でもこのルールを適応できないか? 食べ物に向き合い、目で楽しみ、一匙口にするときほど、その料理と対面するときの緊張感、期待感、エトセトラを存分に 自分で楽しむことができるではないか。10分間ルール。でも、本当においしいものを目の前にし、口にしたらけっこう、しーんとなるものだが……。 この合宿の間中、すべてがベジタリアンで、しかも自家製。パンもペイストリーもこのキッチンで焼かれている。三食、三食が毎回楽しみだった。 朝は9グレインのお粥にフリタタだったり、ブルーベリー・パンケーキにカスタードだったり、ヨーグルトもフルーツも添えられている。お昼はスープとサラダにバゲットや玄米で、健康食。夜は野菜のラグーとか、グラタンとかがメインで、ほとんどデザートはない。すべてが望ましく、 おいしくて、体が毎日ヘルシーになっていくのがわかる。 朝食のあとには、毎日、お茶のセッションがはじまる。3グループにわかれ、私たちはアドバンストグループ、奥伝クラスにわけられる。 最初のセッションから床のお軸がすばらしかった。お習字を長年習っているせいか、草書にくずして書いてあっても、たとえ、 一字読めなくっても前後から推察して、全体を読める!というのに気がついた。力をまったく入れてこなかったお習字でも、いつのまにか字が読めるようになったという発見は、また、お茶の懐の深さをも体得したといっていいだろう。 三日めの午後は、ミュアービーチまでいって茶杓作りのクラスだった。そしてある程度出来上がったときには、ビーチでゴザをしいて、茶箱をつかっての茶会。 自然の中での茶会。はるか沖ではスピネカーをあげたヨットが一列に見える。たぶんファーロン島までのレースをしているのだろう。 私は、一日はやく、早退しなければならなかったので、最後の生徒がする茶会には参加できなかったが、私にとって最後の日は朝から茶花をつみにファームへ。 やはりカリフォルニアの気候が左右するのか、たくさんのメドー、ガーデンに何種類も何種類も花々が咲き乱れている。 皆でもっていったバケツに入りきれないほどの茶花が集まった。 クラスでは、それぞれの花を選び、花器を選び、銘々が活けたあと、 特別講師のマギー先生から個々にクリティックがある。全員がほぼ活け終わって、部屋は茶花の展覧会。 それぞれが、『わび』をこころえた気持ちよいものだ。 夕食後もセミナーは続く。和菓子つくりだったり、真の行、真炭だったり、夜11時ごろまでのレクチャー、先生もお疲れだろう。 このGREEN GULCHにはすてきなお茶室がある。ことにすばらしいキッチンもついていて、そのインテリアーの棚がすべて和風、木のものひきだしと、 まるで昔の家に帰ったように気が休まる。日本人のDNAのせいなるかな。 このセミナーには、遠くノバスコティアは、ハリファックスからも、そしてここ禅センターの主事の先生、 また参加人も、モントリオール、ニューヨーク、ミネアポリス、サンディエゴ、パリ、もちろん、シアトルからと、方々から。 普段お茶をやっている以外に様々な方達のお茶も見ることができて楽しく、有意義だった。これからの自身のお茶を問うきっかけにもなった。 2007年8月
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