杉山洋子料理工房
 


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FOOD TALK

教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、 また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。



温泉

温泉


1月最後、2月にかけての週末、久しぶりに何の予定もコミットメントもない。その数日前、にポートランドの知人(料理の生徒さんのご両親)から生わさびが送られてきて、その御礼の電話でお話しすると、 スティーブンソンの彼らの温泉は、この冬の寒波でパイプラインが被害にあい、 春まで修復にかかるだろうとおっしゃる。10数年前にプライベートのボウリング1000メートル以上 掘られて温泉脈をあてられ、そばにはコッテージを、そしてきれいな水のそばにはわさび畑もつくられたのだ。 コロンビア・ゴージの支流が流れるラスティックなすてきな温泉だ。

あー温泉、と思うといてもたってもいられなくなり、インターネットでワシントン州の温泉を検索すると いろいろ出てくる。一晩泊まりで行きたいので、今までまだ行ったことがないが、Orcas Island のリゾートとして載っているDoe Bay Resort、星が5つもついていてよさそう。 さっそく電話でキャピンを予約をして、土曜日に出かけた。フェリーはがら空き。冬にしてはまれに天気がよくピュージェット・サウンドは光って風が強く白波がとんでいく。 直行だと45分ぐらいだけれど、Orcas島まで2カ所ほど寄っていくので、結構時間がかかる。 でも慌てる旅でもないので、島々の風情をカメラに納めたり実にのんびりを楽しむ。

photoOrcas島のフェリー・ターミナルから1時間20分ほどかかっただろうか、ついにやってきた。 海のみえるキャビンを頼んだので、景色はいい。さっそく、温泉に浸かろう!旅の疲れを癒しにいこう!と、 持参のビーチタオルなどをもって、入りにいく。3つのタブがあって先客がいる。男女混浴。しまった! 水着をもってくるのを忘れたとおもったが、みんな裸んぼ。別にいいや、と温泉に飛び込む。

目の前に海、横は入り江で、小さな海岸が見える。小さい日本のタオルをたたんで頭にのせて、 汗が出てきたらふきふき、「極楽、極楽」と、いい気持ち。

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温泉よこのビーチ フェリー乗り場から 部屋から見える景色
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サウナもついている カフェ入り口のバードハウス カフェの看板(冬期休業中)

いったい、私の温泉好きは父譲りかもしれない。父は毎朝、車で家からたぶん20分もあったら行けただろうか (その昔は、今ほど車の交通ラッシュなんてなかったから)神戸の須磨から平野の温泉通いが日課だった。 学校がある日でさえ、おさそいがかかる温泉行きのお供をさせられた。冬でもまだびしょびしょにぬれた頭をして、 一時間目の授業にかろうじて間に合ったというのは、 しょっちゅうだった。

学生時代にヨットに乗り出し、卒業した年にはディンギーだが新しいヨットを進水させ、 それでもヨットのオーナーとして、日本外洋帆走協会(当時)の内海支部に所属し、 日本ではじめて造られた外洋むきの36フィートのヨール、MINERVA IIIのクルーに抜擢され、 瀬戸内海を通り九州の別府までのクルージングに何度もさそわれ、別府で温泉三昧は、 もちろん趣味にかなったものだった。

大学時代の同級生と、カナダからヨットレースで同じ船に乗ってたクルーが日本に遊びにきたときも、 このクルージングにいっしょに連れていってあげたり、別府からもっと南、 黒潮ながれる宮崎の方までも行ったものだ。着くと地元の名士が待ち構えていて、 あちこちの温泉に案内される。MINERVAグループには、はかなくも日航機の事故で亡くなられたが、 頴川美術館もお持ちの頴川さんなどもいらして、キャビンの四方山話で骨董や美術論議が盛んだった。 その当時は、お茶を習いはじめたころで、特に習っていた先生は、 お家元の淡々斎が出稽古にいらっしゃったような、すでに高齢だったが、 いつもの御稽古にそれぞれが御箱書きのついたような、いい物をつかわせてくださったので、 いいものになればなるほど、自然なよさがあり、興味がわき、そういう話に耳傾けながら、 ヨット道楽、温泉道楽、グルメ道楽をして、20代の半分を過ごしたのである。

日本で住んでいたなら、スキーをしに行っても必ず温泉があるし、ヨットを舫い、陸にあがっても、 必ず温泉をめざしたのだが、アメリカでも、脈があるところならば、ほれば温泉は絶対出るはず、 そして、いい施設をつくれば、人はくるはずとおもうが、あるのはだだっぴろーいプールだったり、 趣きのあるのは、少ない。

カリフォルニアのガーリックで有名な町、ギルロイに大学時代の友人夫妻が 経営する秘境の温泉がある。主人は、サリナスに3年間ほどオフィスを構えたことがあり、 あるとき、主人の出張に一日お供して、産地をまわったあと、日暮れにその町を通る道に出た。 温泉行きのなんの用意もなく、ハンカチ一枚で、訪ね訪ねてやっと見つけた渓谷、山道のおくに、 その温泉を見つけたとき、オーナーの友人ですと自己紹介をして、ゲートを通してもらい、 入った内風呂になんと何年ぶりかで会う友人が入っているではないか! その温泉にも温泉好きの日本からいらした大学の先輩夫妻とお孫ちゃんなどを、その後に、 このアメリカの秘境の温泉に御連れしたこともあった。

それでも考えてみると、レイク・タホーからロスに向けていく道なりにマンモスという大きなスキー場があり、 そこでは温泉がスキー場の横についたホテルに泊まったこともある。温泉に入っていても、 頭から雪がどんどん降ってきていた。

日本では、よく行くのが神戸からすぐの有馬温泉、九州の湯布院。とてもよかったのは、奈良の奥の奥、 湯量がたっぷりの湯の川温泉、和歌山の龍神温泉、東北は秋田の鶴の湯。昔から今まで行った温泉を羅列すると、 長野の温泉あちこち、伊豆や熱海、四国の道後温泉、箱根、岐阜白川郷にも新しい温泉が。北海道も1―2度、 またしょっちゅう行く輪島にも温泉があるのを最近発見、群馬の法師温泉や、その他、天の橋立も行ったっけ。

京都に近い亀岡には、生け花インターナショナルの会長をしていた友人が近場でいいと見つけたのは、 なんと桜の巨木をくりぬいた温泉、花のときは、目の前の花をめでながら入れるのだろうと想像するに楽しい。 でも、究極は、やはり湯量がたっぷり、掛け流しの源泉がいい。こういうことを書いていると温泉シック になってしまう。そうそう、ひとつ行きたいところが、秋田の玉川温泉。岩盤浴の本家。今年中に行けるかなあ。 わたしは一度行こうと決めるとすぐさっーと行くほうなので、絶対、主人をさそっていこうと思う。

さて、たっぷりいい湯につかったあとは、おいしい料理!
よく、我が家の茶懐石のクラスのあとは、『あーこれに温泉があったら、申し分ないなあ』 なんて生徒さんがおっしゃるので、『よろしかったら、二階のマスターズベッドルームのバスは、 広々としていて、温泉の素もあるので、いかが』なんて。

日本だと、温泉とおいしいお食事付きは、あちこち、どこでも願望が叶うが、 アメリカでは!?誰か知ってたら、教えてくださーい。

2009年2月




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