教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、
また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。

日本人としてアメリカに住んでいても、和食が大好き。1年に2度ほど、日本に帰るたびに大荷物になるが、そこそこの和食器を買ってくる。このごろは茶懐石も教えているので、今度はそれに添った器を探すようになってくる。とても楽しみである。
西洋料理を教えはじめて来年で20年になるが、ときどき世界中からゲストシェフをお呼びして、クラスをしていただく。その度に、わがキッチンで、シェフが必要とする用具でなかったためしがない。どんなものでも、すべてがそろっている。これはひとえに、長年かかって、ありとあらゆるものを作り、キッチンで必要なものをすこしづつ揃えていったたまものである。
ときどき道具類や食器の大掃除をし、見直しをする。必要なもの、必要でないものを分ける。必要でないものはガレージの主人お手製のキッチン用収納庫におさめておく。(ときどき、再度、必要になったりもするからだ。要らないからといって捨てたりはしない)また、より新しく、より便利な道具が出現したときは、すぐ取り入れ、とっかえる。かといって、古いものは、やはり収納庫でキープしておく。
理想のキッチン作りは、人を呼んでのパーティーからはじまる。こういうメニューで、こういう器で、サーブしたい。テーブルクロス、ナフキン、シルバー(フォーク、ナイフ類はこう呼ぶ)等、テーマに沿って用意するが、やはりないものが、多少出てくる。パーティーでなくて困ったもの、あったほうが便利だったとか、かっこいいだとか、パーティーのあとで、時問自答のチェック、そして、キッチン用具の店、他へ飛んで買いに走る。次回、同じような感じでするときには完璧になっている。そういうことをしているうちに、だんだん自分スタイルのキッチンが定着する。
料理を習いにくる方にはこういっている。もちろん習うのにお金がかかるが、それ以上に鍋釜から、ありとあらゆる目新しい道具類、食器類が目に付く。家に帰って、作る材料や調味料もばかにならないが、そういう道具類も買わなっくちゃ。そこで、料理をならいはじめたら、(その昔、教えはじめたときもいっしょだが)ドレスとか、洋服など、1年間は、買うのをよして、その替わり台所用品を重点的に増やしていけば、とサジェストする。1シーズンか2シーズン着れるドレス1着買う代わりに、一生使えるフードプロセサー1台が買えるのだもの。
このごろは、キッチンストアへ行っても必要なもの、ないものをさがすほうが難しい。もっともエギゾティックな料理用のものは、別だが。本や雑誌で、なにか作ったことのないもの、また、道具でないものを発見して買いに走る喜びは、楽しみのひとつでもある。
2月のはじめ、まだシアトルが冬の曇り空に閉ざされていた頃、すでにマスタードの黄色い花が満開のカリフォルニアはナパバレーのセントヘレナにいた。CIA (CULINARY
INSTITUTE OFAMERICA)で、プロフェッシォナルの一番難しいコース、ARTISAN BREAD BAKINGのクラスを取るためだった。
全米から集まったパティシエやクッキングスクールの講師、もうすぐカフェをオープンするというシェフなど、8人の同僚たちと毎日10種類づつぐらいのパンを作りにも作った4日間であったが、私が発見したのはわずか数ドルで買える、柄つきのレーザーブレードである。これで、生地を二度発酵させて成形し終わったものをバン焼き釜にいれる直前に、さぁーと切れ目をいれる。これはまだ買っていない。ベーカー用のカタログが来たときに、是非、注問しようとてぐすねをひいて待っている。外は桜でいっぱいの春。キッチンも見直してみよう。
追加だが、イタリアはトスカーニから今週、教えにきてくださるPamela
Sheldon Johnsさんのクラスが終われば、すぐ日本に発つ。東京の友人のリクエストで、Sur la Tableで買えるなにか新しいキッチン用具をおみやげにとのことで、私が選んだのは、ひとつはアボカドカッター。アボカドを半分に切って種を取ったら、ひとすくいでサラダ用あるいは、カリフォルニアロール用に果肉を切りわけられるのだ。使うととっても重宝で、まな板を汚すこともない。もうひとつは、やはりレーザーグレーター。シトラスのゼストが白い部分をすくわず、みごとにうすい皮の部分だけ、しゃわしゃわとつくれる。いろいろな大きさがあるから、これも最小必要限、ひとつ、ふたつ持っていると便利である。

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