教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、
また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。

シアトルを早朝出発し、ロスで友人のAdrienneと待ち合わせ、メキシコ・シティーへ。そこからバスで2時間半。タクシーに乗り換えて目的地のPueblaに到着、一日がかりだ。ヨーロッパの中世風を想わせる街。やはり見知らぬ街を見ると胸がわくわくする。着く瞬間までは、いつも家にし残して来たこと等が頭をちらちらとかすめて、すっと入ってはいけないのだけれど、今回もオーセンティックな空間に来てはじめて、どかーんとメキシコのまっただ中という気分に浸ることができた。
いろいろな講義、プレゼンテ−ション、クッキング・クラス、ワークショップ、市場見学、古墳見学、ランチ、ディナーと、それぞれ趣向をこらした催しを、その国の食のトップの人達が用意してくれている。今回一番素敵だったのは、Monica
Mastretta のガーデン・ランチパーティー。ランチといっても一日の一番大きな食事で、午後の2時から4時頃に食べるComidaと言う。quesadillas、
molotes、 gorditas、 chalupas、そしてaquas frescasとフルーツのソルベ3種類。ストリート・フードの屋台を庭に配して、庭の向こうにはChoululaのピラミッド遺跡が見える。すでに、秋まっただ中のシアトルから、また素敵な夏の日に戻ったよう。最初にいただいたケサディアがまたとびっきりおいしい。今になると、どのお料理がどの名前でと覚えていられないが、どれも結構ポピュラーらしい。また後日、クッキングのクラスで、モニカが作ってくれたPipian
Poblanoが秀逸。おいしい料理の究極は、家庭料理にあると思う。
おもしろかったのは、4〜5人のグループごとにわかれて、スペイン語で書かれたショッピング・リストを持って市場で食材の買い物を命じられたこと。グループに一人は、スペイン語ぺらぺらの人が必ずいるので、強い助っ人である。アメリカでは、すでにしわしわになったものしかお目にかかれないフレッシュなサボテンの葉とか、みずみずしいヒカマ、ものすごい種類のチリ等が手に入るほか、10ペソ(1ドル)で、2ポンド以上のトマトが買える安さ。売っている地元の人達のいでたちと表情……。マーケットは楽しく、飽きない。それでも時間が限られていて、私達はひとつの
アイテムを残してショピング終了。夕方には、メキシコの食材の研究を、世界的に有名なメキシコ料理の先生であるRicardo Zurita氏の説明で勉強。知識が豊富になってくるのを感じた。
ディナーでのアペタイザーは、バナナをパウンドして揚げたものに、チリサルサをつけて食べるもの。マーガリータと良く合う。かりっかりっとしたのから、しっとりしたものまで、いろいろ食した。これは、とても口にあっておいしい。すぐに真似して作ってみようと思う。おもしろかったのは、クロコダイルに似た魚(写真左)、通称「ガー」と言うらしい。ディナーでも一度出されて、おもしろーい、ちょっと鯛に似た味がした。でも、このマーケットで売っていたグリルしたものの味見をしたかったかな。ところかわれば品かわる、の典型かも。
カカオのプランテーションに二日続きで出かけた。カカオの種類、育成、収獲、亜熱帯のプランテーションは、マニラを想わせる。カカオから作ったドリンクは、うすーいピンク・レモネードのような色で、すがすがしく、リフレッシングな味がする。カカオワイン、リキュールはどれも若い感じ。これは娘さんがミス・タバスコ(県)のプランテーションでいただき、さっそく1本だけ買ってきた。クリスマスに友人達を呼んで、みんなで楽しもう。
(写真右:成熟したカカオ)
大好な陶器は、Mercado Carranzaの有名なTalavera Uriarteで、息がつけないほど素敵な、半端じゃない本物を見る。フローレンスの有名な陶器のメキシコ版かと思うほど。旅はまだ長いので、ここではひょっとして、和風にもいけるんじゃないかと、小ぶりの長方形の染め付けに似た色のをひとつと、クリスマス・オーナメントを3個のみにした。帰ってきて、先の染め付けを和食の朝粥のときに使ってみた。梅干し、たくわん、塩昆布ととてもマッチする。いくつかまとめて買ってきたらよかったと思ったほど。でも、いいところだったらまた行ける機会があるだろう。
Cacaxitaでは、昔の宮殿跡と壁画を観る。雄そうにまわりを見渡せるすばらしい台地にあって、日本の城でもこんなにすごい景色のある、まっただ中の盆地のようなところに建っているのは、そうないだろうか? でも、そんな気がする、気分のいいところである。
土地の人のうちで、ブルーコーンチップのトルティヤをいただいた。どこでも使っているドラム缶のふたをグリルの鉄板にした感じの上で、カクタス、ビーフ、オニオンとソテー(写真右)をしてのせてくれる。味付けは塩だけ。そして、レッドソースとグリーンの二種類のチリソースをめいめいかけて、食べるというラスティックなお昼だった。古墳まで歩いて行った後だったので、地元のビールとこれは、こたえられない。うーん、おいしいと、うなってしまった。なんて幸せと、無我の境地に浸っていると、「もうひとついかが」とすすめられるが、とにかく食べ過ぎは止めておく。今、もう一度、あの味を食べてみたーい。おみやげに、デモンストレーションで作ってくれた稗とはちみつ、ライムとシロップで作った、まことにオーガニックなお菓子。素朴でおいしくて、これは、我が娘が喜びそう。ちょうど、Day
of the Deadの日本のお盆のようなお祭りの真っ最中だったので、これを使って、がいこつのお菓子も添えられた。ほかでも、砂糖菓子をがいこつにして、それぞれの名前入りというのももらって帰ってきた。いろいろ風習、習慣が違うのがおもしろい。
今回はプエブラ、ビラへルモサを中心に、メキシコの食文化の一端に触れることができた。昨年、バハのエンセナダでは、
海辺に近いマーケットで食べたシーフード・タコス(具はいろいろ、好みのシーフードを注文できる)がおいしくてたまらなかった。
タイのバンコックでも、泊まっていたオリエンタル・ホテルの料理学校で作るものは、どこよりもおいしかったが、かえってストリート・
フードや、土地の人達がきどらなく食べているものに、棄ておけないおいしさを発見することが多い。
まだまだ次、メキシコも今、注目を浴びているユカタンやワハカと、地方によって食文化が違うので、機会があったらまた出かけてみたい。
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CenaのLas Bodegas del Molinoでの晩餐会、友人のAdrienneと |

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