杉山洋子料理工房
 


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FOOD TALK

教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、 また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。



冬のニューヨーク


寒波が押し寄せて、零下7度。まだまだ冬のニューヨーク。
ブルックリンの娘のアパートに拠点をおいて、10日間ほど行ってきた。
photo着いた日が娘の誕生日、そして帰る日が私の誕生日。WISHY WASHY PICES、母娘そろって魚座、性格がまこと似ている。 好きな物もよく似ていて、感覚が等しい。翌日、LE BARNADINEでランチ、三ツ星だが前回のようなサービスがない。 オペラの前に、また軽く夕食をNipponでとる。何十年前からもお気に入りで稲庭うどんとかてんぷらがおいしい。 いつでも安心していい和食が楽しめる。おからもメニューに載っていたので、そく注文してみた。 この間書いた具だくさんのレセピーと比べてみる。具は2〜3種類だけで結構甘い。

次の日もお昼はフレンチ、JEAN-GEORGES で。今は不況の時、せめて食べ物で心を癒してもらおうと、 シェフがプリフィックス・ランチやディナーを出してくれている。もちろんシアトルでも3月、11月のレストラン月間は、 30のレストランが協賛して、3コースを$30で提供しているが、日曜日から木曜日までである。 JEAN-GEORGESは、皆が繰り出す週末でも割安で出しているのである。アミューズ・ブッシュに3種盛り。 ランチは2コースで$28。 デザートを足しても$8まことに手軽なお値段で、 わざわざおフランスにまで出かける必要がないぐらいに洗練されている。 ダイニングルームもコンテンポラリーで明るく、トランプ・インターナショナルホテルの一角にあって、 窓越しに春を待つ木立が美しい。ただ、ランチの予約がとれたのが2時半。 でも心満ちたランチを食べ、凍てつくようなセントラルパークを散歩しながら、 MET(メトロポリタンミュージアム)まで、次は家族三人でメトロポリタン美術館をめざして歩く。

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美術館のあと、マンハッタンの City Hallすぐそばの娘の働く SHoP Architects 建築設計事務所へ寄り、New York Daily News に載った Lower Manhattan's East River プロジェクトやNew York Times の South Street Seaport の設計モデル等々を見せてもらったりして、午後9時ごろブルックリンの娘がよく行くという和食の店、日比のへ。おなかはすいていないので少々待たされても大丈夫。 やっと席につき、手作りお豆腐が売り物ときいていたのだが、実際味わってみると、豆乳を固めただけのあっさりしたもの。 この旅行直前にオーガニックの大豆をつかって、ホームメイドのお豆腐、おからなどをつくるクラスをしたところだったので、 そういう手間ひまをかけてつくったものじゃないことに、落胆。お味も京風ということだったので期待したが、 それほどじゃなくて失望。アメリカにいてもよりすぐりの昆布や鰹節をわざわざ日本にまで仕入れにいって 日常つくることをしていると、レストランは、私の味にはとうてい勝てないだろう。 普段から本物のだしからつくっていると、日本にかえってすら気に入るのはごく少ない。

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日曜日、一足さきに帰る主人を見送ったあとは、娘の友人の建築家のブランチ・パーティーにでかけた。 若い人達でいっぱいのone bed room apartmentだが、たくさん来ている。ワッフル、卵料理、ベリー類のフルーツ、 オレンジジュース、コーヒーだが、楽しい雰囲気。さすが建築家、インテリアもすてき。 私は大学を卒業して就職が5月からだったので、4月いっぱい、 今は日本を代表するような建築家の安藤忠雄の最初の神戸の青谷にあった設計事務所でアルバイトをしていたことがあったが、 そこでのインテリアもとてもすてきだった。とくに皆で集まってごはんとなると、 小さなすり鉢をご飯茶椀に使っていたのがなんだかとってもハイカラに写った。 そんな昔の胸躍る気分を感じさせられた。

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凍てつくような寒さだが、午後、ずーっと北のほうにあるNOGUCHI GARDEN MUSEUMへ、娘の案内で連れていってもらう。 庭園のほうは修復中で、なにもないが、内部のなかなか見応えのある作品群に接して、その力強さをひしひし感じる。 木であれ、石であれ、命が宿っている。帰りはイーストビレッジの蕎麦屋へ。ここはカウンターに京都風のおばん菜を並べてあって、 三品ほどを突き出しにいただける。どれもちょっと甘過ぎる気がするが、身欠きニシンを焼いたものを注文してやっと落ち着いた。 寒かったので、しめは釜揚げうどん。うどんはいいが、木の桶はなんだかぬるくて、家で釜をあたためながらいただく ほうがやっぱりおいしい。釜揚げは舌をこがすような、ふーふー吹きながら、汗出しながら食べるのが本当だろう。

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二日後、NYから汽車にのってNEW HAVENへ。大学のART GALLARYで、「茶の旅路」と題したお茶のEXHIBITIONを見に行った。 室町、鎌倉のころから、そして利休、宗旦のものから現代作家のものまで陳列に並び、そのコレクションがとても すばらしいものだったので、1回ゆっくり観たあと、さらにもう一度ゆっくり観回る。一度目よりも二度目に感激。 ひとつひとつをじっくり鑑賞。感激を胸一杯あたためて、お昼に、UNION LEAGUECAFEへ。窓際のいい席でランチ。 娘がここの大学院を卒業して以来のNEW HAVENでは、大好きなレストランで舌鼓をうつ。
食後、またART GALLERYに。階上では、ピカソ展もやっていて、楽しみにいく。 そして、最後にもう一度、お茶の展示のほうを。三回も見て回って得心。興趣深い。 こんなによりすぐりの本物の茶道具展示は、一年ほど前の三井美術館の茶椀展以来かな。 大学時代の友人のご主人が今や、商船三井の社長となり、その三井コレクションのプライベートお披露目に案内されたのだった。 そのときの印象は、こういう茶の滋味あふれるコレクションの茶碗なり、道具なりを使って茶会ができたらいいだろうな、 というものだったが、このエール大学での展示に行ってきたと、翌日、裏千家NEW YORKの茶の湯センターを訪れた時に、 スタッフにそのすばらしさを伝えたら、なんと、その展示会の大半が茶の湯センターの二階にお住まいの 夫妻の所持品で、初釜などにもそういうお道具をつかわせていただくとおっしゃるので、仰天! そうか、そんな時代もの、利休、宗旦のものを使って茶会をするのか! と、心臓がとびでるほどだった。いつか、NYの初釜にも参加させていただきたいものである。

この日もお昼がフレンチっぽいものだったので、夜、仕事が終わったあとの娘に案内されて、 前々から聞いていた「一風堂」のラーメンに行く。仕事帰りのハッピーアワーでバーは人で溢れかえっていて、 めざすラーメン、お席につけるのは、1時間ちょっと待つという。でもニューヨークらしくじっと待つ。 本店が福岡の博多だというから、ひょっとして昨年の秋、バスで通りすがりにみていたあの店だろうと、見当がついた。 店構えも店の雰囲気もお味も中々上々。おでんを注文してもgood!だったし、 昭和の時代のラーメンというのも、昔の中華そばといった感じでよかった。

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翌日のお昼は、近所のフレンチにお昼の定食メニュー、2コースが、$13.99というのに入ってみた。 カニサラダとスカートステーキの煮込み、マッシュポテト付き、とってもいい!  ホームメイドは、かくありたいとおもうようなお味で堪能。でも、本命は今晩のディナー、娘が是非行きたいと、 もちろん予約はとれないので、待つのを覚悟でグリニッジ・ビレッジ近くのneighborhood restaurant、THE LITTLE OWLに行く。 ちいさなレストランなので、かれこれ1時間20分ほども待たされる。が、席にすわって、 なんと、また、ステーキ&フリットを注文してしまう。一口、口にいれると、その素材のよさが、食欲をぐーんと増すのは、いかに?
二日後、家で、それぞれのドギーバッグを夕食にしたのだが、私がいただいたのは娘の注文した魚、たらの一品。 二日間冷蔵庫で鎮座していたにもかかわらず、その魚のフレッシュなこと限りなし。 えもいわれず、そのレフトオーバーを平らげてしまった。そのレストランのサービスといい、その食材の新鮮さといい、 開けて間がないにしても、すごくいい評判は、いかにも。翌日のお昼に待つことなく、CHANTERELLEでの優雅な食事も色あせるほど、 このTHE LITTLE OWLの食事は、今回のNYでは一番だ。

シアトルに帰る前日、娘に乞われてのディナー・パーティーに、豪華巻き寿司、肉じゃが、チキンの西京味噌焼きししとう添え、 ほうれん草のおひたし、切り干し大根の煮物や、高野豆腐などお袋の味料理を作ってあげたのだが、 シットダウンのテーブルに椅子4脚しかないのに、ラウンジチェアーや、トランクなどまで出して、座る場所を作り、 或る人は座れずに立ったままで、12〜13人のお客様。 もちろんプレートなども友人達が持ち寄って。アペタイツワーや飲み物なども持参で、 若い人達が気持ちよくパーティーを楽しんでいるのだ。

ヨットのギャレーを考えるとこの小さなアパートのキッチンは、冷蔵庫もオーブンさえも付いていて豪華! ギャレーと考えたのだが、狭い狭いキッチンでつくるのは肩がこってしまって、帰ってからも数日、その後遺症と戦いつづけなければ 直らなかったのだが、いつでも、どんなところでも、料理はできる!を自負している私だから(その昔、ヨットレース中、 荒れた海のまっただなかでも、料理していたんだもの!)平気の平左のはずだったのだけれど、 さすが、我が家のキッチンに戻ってみると、スペースがあるのはなんていいことなんだと幸せをかんずることしばし。
あと、NYでは出前が当たり前というのにも、さすが町中に住んでいるのは、いいもんだと、日本の出前を思い出している。

photo ブルックリンの近所も歩き回ると、なかなかいい店やレストランがある。娘のおすすめでディナー・パーティーの日、 なにかいいシーフードマーケットを探しながらいったイタリアンのFANKIESもパンがとってもおいしく、スープもサラダもよく、 また、洗濯やのおとなりのベトナムレストランのお豆腐のファーもお豆腐をチキンもどきに煮ていて、お味もよく、ZAGGAT SURVEYにも載っているわけだ。 また機会をつくって、NY食べ歩き、楽しみである。

2009年3月




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