杉山洋子料理工房
 


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FOOD TALK

教室でお料理を教えたり、世界の「食」を求めて旅をしたり、 また日常生活の中から役に立つアイデア、新しい発見、感激など、「食」に関するエッセイをお届けします。



光る海


9月は何度、シアトルとポートタウンゼントを往復したことだろうか。

Dolly をホールアウトし、マストを倒し、リギングをすべて外して、ハル(船体)と共に傷んだ箇所を修理し、 ニス塗り、ボトム(船底)塗料、ウオーターラインなどを塗るのにDollyの設計者かつ建造者であるJohn Guzzwell 氏の義理の息子さんが責任をもってやってくれるというので、シアトルからの廻航共々お願いしたのだった。 今日、いつも頼んでいるボートヤードにドック入りすると、とてつもなく高い費用(ことに人件費)がかかるので、 8月にニス塗りの講習会にまるまる2日間参加し、少しは私も習って、できるようにならなきゃと、そして意外にも、 なんだか自信がついたので、遠いけれどこまめに足を運び、私もできるところは、やってみることにしたのだった。

戸外で、残暑が厳しいポートタウンゼントの港「Boat Haven」に上架されたDolly、 姉妹艇のレーサー「Endangered Species」とサイド・バイ・サイドに並んで、すばらしい船の全体像をみせている。 ボートヤードは活気があり、働くのにわくわくする気分で一杯だ。

光る海 光る海
Endangered Speciesと並んだDolly (右)
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33回目のWooden Boat Festival John Guzzwell 氏 つかのまの休憩

レイバーデイ(Labor Day)の翌週の週末は、毎年のようにWooden Boat Festivalが開かれている。そのこけら落としの日である 9月12日に、Guzzwell 氏は「Life time Achivement Award」に輝き、式典がほどこされた。ちょうど50年前の1959年9月12日、 世界一小さな自作艇で世界一周し、ビクトリアの港にヒーローとして帰ってきた日だった。それからの半世紀、 大型ヨットも含め何十隻も建造してきた、ノースウエストでは知らない人がいないほど有名な方だ。記念として、Guzzwell 氏が作った船の中からハーフモデルの楯が送られることになっていると新聞に出ていたが、なんとその船が私のDollyだった。 いつもどこでも、Dollyでクルージングやフェスティバルに参加するたびに、絶大な賛辞をおくられる (ちなみにGuzzwell氏のサイトはJohnGuzzwell.comです)。

ちょうど13年前に、若い時クルーで乗っていた「MINERVA III」のミニチュア版みたいだとDollyが売りに出ていた時、 経歴もなにも知らないのにその美しさ、テストセールに出た感じの良さにぞっこん惚れ込んで手に入れてから、 いつもこのfameがつきまとっている。そもそもGuzzwell氏が二番めの妻、Dorothyにと作った船で、進水した1993年の「Wooden Boat of the Year」に選ばれ、はじめから華々しい経歴だ。1995年にレーサー、Endangered Speciesの建造をはじめたので、 Dollyはいらないとのことで、建造されてから3年で売りに出ていたのだった。

3週間のhaul outの後,Dollyがまた海にでる日がきた。
ポートタウンゼントまで送ってきてくれた主人共々、Dollyがトラベルリフトから下ろされるのをみていた。 本当にこれ以上美しい船体があるだろうか。朝日にフレッシュなバーニッシュが光る。 今日は、いつものように、シングルハンドで、ハットアイランドまでの航行の予定。途中で逆潮に悩まされるだろうとは覚悟していたが、7時間ほどかかってしまった。ガソリンもほとんど底をつくような感じで、 はらはらだった。アイランドの南端側をだいぶ迂回しないと浅瀬に乗り上げるのをチャートで知っていながら、 昆布の海に突っ込みそうになり、大慌てで舵をきる。ハーバーマスターとも連絡がつき、桟橋で誘導してくれる。 シングルハンドは、海の上ではいいが、港につくと様子がわからないので、ドックハンドは絶対必要Dolly で最初にこの島に探検に来て、気に入った土地を手にいれてから、もう3年の月日が経つ。Dollyで来たのは、二回めの上陸。 マリーナのドックが新しく設置され、みちがえるほどすてきだ。

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今からDollyは、また海へ 左手をのばして、自分の撮影
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光る海-すこし風が凪いで Hat Islandに舫っているDolly

翌日、ゲストシェフのクラスがあるので、週末の金曜日の最後のフェリーに乗って帰る。翌日の楽しいクラスも終わり、 翌々日、また島に戻り、今度は一路、ホームポートをめざして機帆走で帰る。幸い北風で、順風に恵まれ、初秋の快適な航行ではある。 午後日射しが少し西に傾きかけ、まばゆいほどの光の海。オリンピックの連山のシルエット。 こんなすばらしい景色をできたら皆と共有したいのだが、今、この海のなかにいる選ばれた人しか見れないのだ。 荒れる海も覚悟で、一人雄々しく海に出て行く勇気、決断、途中どんなことに遭遇しても解決しなければならない状況も見極める。 出かける前はどきどきだが、一旦、海にでると、海が味方してくれるようにも感じる、肝がすわってしまい、どんと来いなんて、 嵐が来たらたまげてしまうだろうけど、ラジオで入手する限りの天気予報では、午後から10−20ノットの風、以前、 35ノットが出たときでも、ホームポートに入港できたのだもの、大丈夫。

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ゲストシェフ、Suzanne Hunterのクラス

本来なら、ヨット上で料理するのが、若い時からお手のものだったが、Dollyはたった23フィート、 それにアンティークの使いづらいアルコールストーブで、ほとんどお湯をわかすぐらいしか使わないが、 (それでもシングルハンドの時は、家でお茶やコーヒーをつくり魔法瓶にいれてもって出る)、これを改善したならば、One pot dishなど簡単なものを自在につくれるだろう。そして、この次のプロジェクトは、オートパイロットの設置。

最後に食べ物を話をつなげなくっちゃ、私のFOOD TALKにはならないので,ポートタウンゼントの町のレストランを一つ紹介しよう。 「SILVER WATER」というレストランが好き。その横は小さなすてきな映画館。今回、最初に行った日のディナーはひとりなので、 カウンターでグリルドビーフつきのサマーサラダを頼んだ。アペタイツアーもよく、ハッピーなミールとなる。 そして噂に聞いていたJULIE & JULIAの映画を見に行った。食事よし、映画よし。最後にいったときは、おいしいコーヒー屋さんも見つけた。 名前は、失念してしまったが、その映画館沿いのブロックに位置する。アンティーク屋さんの女主人におそわった。

新しくマリタイムセンターもすばらしいのができ、活気づくポートタウンゼントではある。

 

2009年9月




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