top of page

FOOD TALK

​丹波の秋

 

丹波篠山にとてつもなくおいしいおそばを食べさせる、田舎の田んぼの中にあって、看板もなにも出ていないところがあるという。 

東京から駆け足で、輪島、珠洲とまわって、神戸へついた翌日、友人に案内してもらった。 まさしく日本の原風景そのものである。かやぶきの屋根、すすきの穂がゆらいで、おとなう人を涙ぐませるような。一会庵という。 30分ほど田舎の風景を楽しみながら順番待ち。つと、あぜ道を見てみると、おばあさんが一生懸命にとれとれのえだ豆をそうじしている。 一束600円ぐらいで売っている。ゆでたのをサンプルの試食用にすすめられる。おいしい!ふだん、アメリカでは冷凍のしか売っていないから、 そういうものしか口にできないから抜群においしく感ぜられる。おそばを食べる前の前菜にもってこいだ。

ついに私達の順番がきて、おそばを注文。注文といっても一種類のみ、薬味はもちろんなにもなし、そばつゆだけの単純きわまるもの。 とびっきりおいしい。お酒はもちろん地酒。蕎麦湯をもらって最後のつゆに足し、幸せにひたっていると、何度もここへ通った友人は、 デザートにぜんざいを注文している。えっ!変なとりあわせと、食べる気がしなかったが、うん、もちろんこれもいける。食前、 おそばが運ばれてくる前に、家の中やまわりを見渡していると、おみやげを売っている。なんとしじみとわかめを乾繰させたもの、 お湯にもどして、おすいものにできる。わかめがたっぷりしじみのエキスを吸っていて、世にも簡単なおすいもの。

 

アメリカに持ち帰って、どれだけ堪能したことか。気の利いたものを置いてあるものである。

食後、丹波の立杭焼きを見にいく。急に寒くなったので、たった一軒きりしかいかなかった。旅なかばにして私のス―ツケースは、 あまり余裕がない。これ以上、必要でないものまで買える余地がないのだ。神戸から近いから、また出直してこれる。 汲み出しようの湯呑を2つだけ買った。でも、その店でおもしろいものを発見。苔玉である。 写真のように、盆栽のようなものに苔をアレンジしてぐるぐる釣り糸のようなもので巻いてある。 今、日本ではやっているそうな。これだと自宅の庭には、芝生をおしのけて、苔がのさばってきているので、 材料は無増有にあるから作れそう。と、おもって帰ってきて、まだトライしていないが、春になったら試してみようと心に留め置いている。

最後に寄ったのは、丹波の黒豆やさんと栗ようかんのおいしいお菓子やさん。店構えがよく、中に入ると買いたいものが山ほど。 手にずっしり重い買い物は、どう持って帰れるだろうかと、心配しながらも一番先に持って帰りたいもの。 そこで買ってきた缶入りのつぶあんのおいしかったこと。SNOQUALMIE FALLSのパンケーキ・ミックスに卵を足して、 ミニミニパンケーキを焼く。それにこのつぶあんを山盛りにのせ、 ライムのゼストをまんなかにガーニッシュすると、簡単片面どらやきができあがる。お茶用に即席主菓子のできあがりだ。

もう一軒のお店は、丹波の栗ようかん専問店。ここで買ってきた栗ようかんは、至るところがおいしい栗だらけ。 どこを切っても。栗、栗、栗。こんなにどっさり栗がはいった栗ようかんなんて、はじめて。来年の秋もぜったいいくぞー! 買い出しに!こころに響く食物を発見することぐらい、この世の中で幸せなことはないのだ。写真を撮り忘れて記録に残せないのが、残念。 

2004年11月

bottom of page