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FOOD TALK

季節のおくりもの

 

一ヶ月に一回、築地に魚を注文、関鯖が手に入った。SHIRO SUSHIのシロウさんに教わった 鯖寿司を思い出しながら、3枚におろした鯖にたっぷり雪のように塩をかけ、2-3時間おき、 塩気を流し、バットに水を張り20分ほどおく。薄皮をはぎとり、今度は、米酢をかぶるぐら いかけて、1-2時間おく。その間、すし飯を用意する。お米は3時間前に洗ってざるにあげ ておく。

 

濡れ布巾のうえにサランラップをひろげ、たっぷりのすし飯に大葉をのせ、マリネからだし、 バーナーで焼いた鯖をのせ、ぎゅぎゅとつめながら、巻き上げる。3cm巾に切り、お醤油と甘 酢しょうがをそえる。

 

この季節、はじめて、フレッシュな筍が手に入り、糠と鷹の爪でゆでる。外の硬い皮を数枚は いで、穂先のほうは、斜めに3-4cmきりおとす。掘り立てのたけのこではないので、2時間 -2時間半は、ゆでる。 美味しい一番出しをとり、海老しんじょの丸をつくり、若竹汁にして、木の芽をそえる。 こういう一手間ふた手間をかけたものは、飛び上がるほど美味しい。 4月に神戸の元町吉兆で夕食をいただいた。お吸い物の味をしっかり味わってきたのだが、 我が家のこの味は、一流の料亭に引けをとらない。金沢のしらい昆布店から送られてくる 利尻昆布に血合い抜きのマグロ節ですっきりとった一番出しの上品なお味。懐石の椀盛には かかせない。

 

この日のデザートは、わらび餅。 本物のわらび粉を砂糖とあわせ、 溶かし、鍋に漉し入れ、 強火でまぜながら、ねっていく。 かたまりかけたら、中火におと し、20-25分、練り上げる。 水で濡らした型に流し入れ、水 のバットでひやす。きな粉は、 丹波の小田垣の黒豆きな粉だ。 香りがよく、わらび餅を適宜きっ て、コロコロころがすと、出来 上がり。このアメリカで こんなに美味しいホンマ物をい ただけるのは、あくまで、追求 心、探究心のなせるわざ。 日本に帰ってはひたすらホンマ 物の食材探しに没頭。重い荷物 は慣れっこ。忘れたころに、こ ういうのを作ろうと思うときに、 材料がある!のは、なんという 幸せなことでしょう。

 

2015年4月

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