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FOOD TALK

季節を感じる

 

 

今年になって、1月からめまぐるしいスケジュールで動いて来た。書きたい素材が山ほどあるときに限って、コンピューターに向かえない。 そうこうするうちに5月になってしまった。月の初日から、大学の同窓会の集まりを我が家でした。2月末、茶室開きに呼ばれ、 着物を着て歩道でつまずいて前につんのめり、両手がふさがったまま顔面着地し、顔、小指を何針も縫うという大怪我をしたが、もともとは その翌日に予定されていた会だった。

 

本来はブランチのはずが、会の前日までメニュ-が決まらず、ちょうど一週間前に西洋料理のクラスをしたあとだったので、なんだか西洋風のものを作る気にならず、 会のメインゲストが来年80歳になられるし、ちょっとお話で耳にはさんだ『煮物がだいすき』とおっしゃった言葉がヒントとなり、野菜の煮物をメインに、急遽、和風献立を考えた。 もちろん、煮物だから前夜から炊き始める。当日、お手伝いにきてくださった大学の後輩は、てきぱきと、普段お料理クラスにきていらっしゃる方々をひっくるめて、10人力といった手際さで、 たった2時間少々で、あっという間に、数々のお料理を作ってしまえたのには驚き、感嘆。チーズ、クラッカープレイトとシャンパンで乾杯。がらっと和風になり、刺身、赤飯、野菜の煮物、鶏のつくね鍋照り焼き、スティールヘッドの南蛮漬け、なすの田楽木の芽、インゲンの素揚げ、 ほうれん草のおひたし、赤出し、デザートは、抹茶アイスクリーム、苺に抹茶ソース、そして、ほうじ茶、皆様に喜ばれる午餐となった、そして、なによりも、助っ人のありがたさを心から感謝でした。

 

そのパーティーの翌日、思いがけず驚喜したのは、今晩、手に入った竹の子を持参するというメールだった。母が生きていたとき、姉が日本から来るときに、 茹でた竹の子と鳴門わかめを携えてきてくれて、それ以来のフレッシュ竹の子。さっそく、ぬかと唐辛子でたっぷりゆでて、あまっていた一番だしと追い鰹で田舎煮にした。 煮ている最中から、味見しいしい、すでに、こんなにおいしい!と翌日が楽しみでたまらなかった。そして、私が怪我をしたときに、ディナー、フルコースをとどけてくれた友人にお裾分けをしたのは言うまでもない。 彼女も残りご飯で、あっというまに、全部食べてしまった!とフレッシュ竹の子感激の即メールをくださった。

 

日本に4月ごろ帰ると、竹の子の旬だけれど、毎年、IACPのコンフェランスがその頃あるので、「あー、竹の子が食べたい!」と思う悲願がはからずも、このシアトルで達成されたのだった。 竹の子三昧で、この春は、八重桜とともに、こころに残る2011年春、幸せ。

 

2011年5月

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